勝間さんの提言。こりゃいいよ。
日本経済の再生は、女性の社会進出が鍵だと思います。
配偶者控除など廃止を2012年3月28日
今回は消費税の増税論議が物議を醸す中、日本の財政立て直しの抜本的アイデアとして、男女共同参画の推進のため、配偶者控除及び年金第3号被保険者の廃止を提案します。
配偶者控除は、収入がなかったり、少ない配偶者がいる納税者は、一定の所得が控除される制度です。また、年金第3号被保険者とは、サラリーマンや公務員の配偶者で、主に専業主婦が対象です。保険料の負担はありません。
3月14日に男女共同参画会議が開催され、野田佳彦首相をはじめとした内閣の主要メンバーが出席する中、私たち有識者議員が女性の活用による具体的な活性策を進言しました。
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以前から男女共同参画会議では報告をしていましたが、先進国で財政が苦しい国ほど男女共同参画が進んでいない国が多いのです。ギリシャ、スペイン、日本などが典型です。理由は単純で、女性が働いていないため、家庭などの収入が少なく、国への税金や年金保険料の納入額が少ないためです。
一方、年金、介護、医療などは男女ともに同じくらいの金額が必要です。高度成長期には人口成長と収入増で男性のみの納入額でも国のこうした社会保障制度は破綻しませんでしたが、低成長期になったときに男性だけの働きによる納税額では足りなくなってしまったのです。
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さらに問題なのは、配偶者控除や3号被保険者による年金保険料の免除などの優遇対象が、実は高額所得者の世帯により偏っており、税制的にみると逆累進性が強くなっていることです。
高額所得者が、配偶者が働かないことによりメリットをうけており、そうでない家計は共働きでないと家計が維持できないため、配偶者控除や年金保険料免除の対象外になっているのです。つまり、所得が低い人ほど不利なのです。
また、働いている場合でも、多くの女性が配偶者控除を受けられる「年間の給与所得103万円の壁」、あるいは、年金保険料を支払わなくていい「130万円の壁」を意識して働いているため、女性の収入が103万円、あるいは130万円のほんの少し手前に集中しています。
結果として、多くの非正規雇用では逆にこの収入から時給が逆算され、時給が安くなりすぎる傾向があり、配偶者を持っていない非正規雇用者の賃金を下方に圧迫しています。
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本来、税制や年金制度は働き方に中立でなければいけません。ところが、現在の日本の所得税制と年金制度は、配偶者を持っている女性に対して「働かないか、働いたとしても年間103万円か、130万円以内の収入で働くこと」に動機づけを与えてしまっています。
この結果、市場はゆがめられ、女性がわざと時間調整や時給調整をして働かず、日本の経済成長を低くして、税収を低め、年金保険料の収入を低くしてしまっているのです。
こういった配偶者に対するさまざまな優遇は高度成長期に導入された制度です。そして、多くの人に一度既得権となったものを廃止するためには、政治の強いリーダーシップが欠かせません。
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配偶者控除は高額所得者を中心に恩恵があり、配偶者控除を廃止することによる税収増は1兆円以上と見込まれています。消費税を増税する前に、まずは税制及び年金のゆがみを取り除くことが先決ではないでしょうか。(経済評論家)
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