<知りたい>大揺れ韓国サッカー界 失点演出、巧妙八百長
毎日新聞 7月4日(月)12時24分配信
韓国のプロサッカー「Kリーグ」の現役選手らが、試合の勝敗をあてるスポーツくじ「トト」で八百長を仕組んだとして14人が起訴、5人が逮捕され、大問題になっている。事件に関与した元Kリーグ選手(30)が八百長を「告白」する遺書を残して自殺したほか、6月27日には、元韓国代表選手が新たに関与を告白したことが明らかになるなど、事件は拡大しつつある。【ソウル澤田克己】
検察当局がこれまでに、国民体育振興法違反の罪で起訴した14人のうち、7人は現役選手。
捜査にあたる韓国慶尚南道の昌原(チャンウォン)地検などによると、元韓国代表のストライカーで、Jリーグの大分トリニータに在籍したこともある金東※(キム・ドンヒョン)容疑者(27)と、自殺した元選手が、Kリーグの「大田」「光州」両チームの選手計9人をブローカー2人に紹介。4月6日に行われた両チームのそれぞれの試合でわざと負けるよう求めた。自殺した元選手と9選手は計2億2000万ウォン(約1600万円)を受け取った。ブローカーは、トトで両チームの「負け」に計1億9000万ウォン(約1400万円)をかけ、6億2000万ウォン(約4600万円)の配当金を不正に得ていたという。
金容疑者は現在、Kリーグの韓国軍チームに所属するため、軍検察が逮捕して取り調べ中で、仲介の謝礼など詳細は明らかにされていない。
新たに関与を認めたのは、韓国代表の控えのゴールキーパーだったKリーグ「全北」所属の選手。昨季所属していた「全南」の試合で八百長をしたと告白した。「6月末までに自主申告すれば寛大な処置を取る」としたプロサッカー連盟の呼びかけに応じたという。検察当局はこの選手から事情を聴くとともに、さらに全南の別の選手ら計2人を逮捕。軍検察も、軍チームの選手を新たに3人逮捕し追及している。
同28日には、別の元韓国代表選手も「八百長の打ち合わせに出た」と地検に出頭した。
韓国のトトは、サッカーや野球など5種目が対象。複数種目の数十試合をパックにした中から2~10試合を選んで勝敗を当てたり、1試合だけで点差を当てるなど、さまざまな種類がある。
八百長の手口は巧妙だ。ゴールキーパーは相手チームが得点しやすいよう防御のタイミングを微妙に遅らせた。ディフェンダーは、ボールを奪うふりをして振り切られたように装い、相手チームの得点を促したという。
ブローカー2人は、トトの購入額規制もすり抜けていた。複数の販売店主を抱き込み、1回の購入額を法定限度の10万ウォン(約7400円)以下の小口に分けて大量購入し、多額の利益を得たのだ。
事件の背景として韓国メディアが指摘するのが、プロ選手の「安い給料」。特に、Kリーグ16チーム中7チームは、財政難に苦しむ市民球団で、スター選手でも年俸は5000万ウォン(約370万円)前後。若手は3分の1程度ともいわれ、八百長試合1回で年俸以上を手にすることもあるとみられている。
韓国プロサッカー連盟は同17日、金容疑者ら10選手をサッカー界から永久追放にすると発表。連盟の鄭夢奎(チョン・モンギュ)総裁は謝罪文で「最善を尽くして八百長を根絶する」と約束したが、具体的な対策は打ち出せずにいる。
※は火へんに玄
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